| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(口頭発表) H1-03 (Oral presentation)

佐渡島の水田における環境保全型農法が水生生物の密度に及ぼす影響

*小林頼太, 西川 潮 (新潟大・超域)

佐渡島では、2008年より「朱鷺と暮らす郷作り」認証制度が導入され、生物多様性に配慮した環境保全型稲作(減農薬・化学肥料、ふゆみずたんぼなど)の取り組みが進められている。しかしながら、これまで環境保全型農業が水田の生物多様性の向上に与える影響についての科学的知見は乏しい。環境保全型稲作による効果の検証として、西川らの発表が佐渡島全島規模で行ったのに対し、本発表では周辺の地形や土地利用といった立地環境からの影響を排除するため、平野部の水田を対象とした。

2011年6月から9月にかけて、国仲平野西部の18水田において、自然実験を行った。調査対象は、1)無農薬・ふゆみずたんぼ(認証田)、2)農薬8割低減・ふゆみずたんぼ(認証田)、3)農薬5割低減・ふゆみずたんぼ(認証田)、4)農薬5割低減・非ふゆみずたんぼ(未認証田)のいずれかの取り組みを行っている水田で、各処理区につき4-5枚ずつの水田を選定した。本研究では、生物多様性指標として、カエル類、水生無脊椎動物、クモ類、植物を用い、減農薬栽培(処理区1、2、3の比較)とふゆみずたんぼ(4、5の比較)の取り組み効果を検証した。

その結果、水生ミミズ類の個体数と植物の出現種数は無農薬田でもっとも高い傾向にあり、農薬低減の効果(5割減と8割減栽培の差)と、ふゆみずたんぼの効果は明瞭ではないことが示された。こうした結果をもとに、環境保全型農法が生物多様性指標へ及ぼす影響について考察する。


日本生態学会