| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(口頭発表) H1-07 (Oral presentation)

景観構造を考慮したアライグマによる農作物被害モデルの構築と被害予測

*栗山武夫,長田穣(東大・農),浅田正彦(千葉県生物多様性セ),横溝裕行(国立環境研),立田晴記(琉球大・農),宮下直(東大・農)

アライグマは北米原産の中型哺乳類で、国内では1962年に愛知県で野生化が確認されて以降、全国で飼育個体の放逐が行われ、現在、全都道府県で生息が確認されている。野生化したアライグマが引き起こす問題として、在来生物への捕食による影響や、人家や寺社への侵入、人獣共通感染症の媒介や農作物被害があげられ、特定外来生物として捕獲事業が進められている。

本研究で対象地とした千葉県は、1990年代に野外での個体目撃情報が複数あり、1996年代に房総半島南東部(御宿町)で初めて自然繁殖が確認されて以降、全県へと分布が拡大していった。2003年頃からは農作物被害が発生し、有害獣捕獲が開始され、2009年度は狩猟と有害獣捕獲あわせて1111頭が捕獲された。

本研究では、アライグマによる農作物被害の程度を生息密度に加え周辺の景観構造により説明する統計モデルを構築した上で、空間明示的に被害程度の予測を行った。統計モデルの目的変数とした農作物の被害程度は、千葉県が2010-2011年に全県の農家を対象に実施した「野生獣の生息状況・農作物被害状況アンケート調査」の結果を使用した。また独立変数に用いた生息密度は、県内の捕獲事業による捕獲効率(CPUE)をもとに算出した値を用いた。また、被害地域周辺の景観構造として、森林・水田・畑・道路・市街地・河川面積等を用いて解析した。


日本生態学会