| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(口頭発表) H2-13 (Oral presentation)
広域な情報を効率的に取得できる航空機リモートセンシングを用いて採草地の収量,品質および草種構成などの空間分布を把握することができれば,草地を維持管理するうえで有用な情報になりうる。そこで本研究では,飼料作物の栽培管理におけるハイパースペクトルセンサの利活用を目的とし,ハイパースペクトルデータを用いて採草地の牧草(三番草)の収量(kgDM/10a)と飼料成分含有率(%DM)について多変量解析(PLSR)を用いて推定した。解析に用いたハイパースペクトルデータは,2006年8月25日にセスナ機に搭載されたAISA Eagle で観測された(400-1000nm,68バンド)。対象とした飼料成分は粗タンパク質(CP:Crude protein), 総繊維(OCW:Organic cell wall),粗灰分(CA:Crude ash)である。収量および3種の飼料成分のデータセットを作成し,波長選択(ステップワイズ)を取り入れたPLSRを適用して推定モデル式を作成した。作成した推定モデル式の推定精度は,クロスバリデーション(Leave-one-out法)にて検証し,EI(Evaluation index)法で評価した。その結果,収量および飼料成分の推定のために選ばれた波長数は,収量で8個,CPで4個,OCWで6個,CAで13個であり,全波長数(68バンド)の19%以下と低かった。また選択された波長の波長域は,収量とOCWが近赤外域,CPが可視域と近赤外域,CAが可視域だった。推定精度は,全ての項目において,R 2は0.64以上であった。また,EIもBrank以上となり,精度良く推定できることが示された。以上のことから,航空機リモートセンシングで得られたハイパースペクトルデータに多変量解析を適用することで,収量および飼料成分含有率を推定し,空間分布を把握可能であることが示された。