| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-152J (Poster presentation)

在来訪花性昆虫とセイヨウミツバチの訪花パターンの比較

*龍野瑞甫(京大・農), 大澤直哉(京大・農)

ハチ目に属する種の多くは、色に関してよく似た視覚システムを有している(Peitsch et al., 1992)。そのため、知覚できる色もハチ種間で近いものと考えられる。一方、ハチが訪花する色の傾向は、ハチ種間で異なる例もある(e.g. Menzel et al., 1993)。

奈良および京都で、26科37属の花に訪れた、ミツバチ科のニホンミツバチ、セイヨウミツバチ、ニッポンヒゲナガハナバチ、コマルハナバチ、クマバチ、スズメバチ科のオオスズメバチ、コガタスズメバチ、モンスズメバチ、ヒメスズメバチ、キイロスズメバチ、セグロアシナガバチ、キアシナガバチ、キボシアシナガバチの13種を対象に野外調査をおこなった。4月から9月、各調査地で週1・2回、晴れまたは曇り日の日中、任意に選んだ花を10分前後観察し、対象種が訪花したら捕虫網で採集した。

スズメバチ科は、ミツバチ科よりも、黄色以外の花と比較すると、黄色い花に多く訪れる傾向があった。また、ミツバチ科間での比較を行うと、ミツバチ属とマルハナバチ属、ミツバチ属とクマバチ属を比較した結果、いずれの場合もミツバチ属のほうが黄色い花に多く訪花する傾向が見られた。ミツバチ属同士で比較すると、セイヨウミツバチの方がニホンミツバチよりも黄色い花に多く訪れていた。本研究から、訪花性ハチ類が訪れる花の色に関して、ハチ種間で選好性が異なり、奈良と京都では植物相が異なるにも関わらず、ハチ種間の花の色に対する選好性が似ていたことが示された。


日本生態学会