| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-027J (Poster presentation)

ガラパゴス諸島の乾燥環境と木本植物の形態

岡田直紀(京都大院農),丸山晃央(京都大農),北山兼弘(京都大院農)

ガラパゴス諸島の中の標高1000mを超える島では,標高にしたがって海岸部の低地林から雲霧帯をへてその上部には乾燥低木林が広がる.このような異なる成育環境のもとに,キク科やムラサキ科などが木本として適応放散を遂げている.本研究では雲霧帯を挟んで分布する海岸低地林と乾燥低木林とに成育する,系統的に近い木本植物について,それぞれの乾燥環境への適応を形態の上から比較した.

調査は2011年7月,ガラパゴス諸島のイサベラ島でおこなった.調査対象はキク科のDarwiniothamnus, Scalesia, ムラサキ科のTournefoltia,トウダイグサ科のCroton, ヤドリギ科のPhoradendron, ミカン科のZanthoxylum, アオイ科のGossypiumの各属の樹種で,異なる標高で葉を採取し,葉面積,LMA,炭素同位体を測定した.また,葉および材の構造についても顕微鏡観察を行った.

海岸低地林と乾燥低木林に成育する木本植物群には,いずれも乾燥に適応した形態特徴(例えば,葉の小型化とLMAの増大,葉面の毛)が認められたが,両者にはおそらく乾燥の度合いを反映したと推定される違いが認められた.Tournefortia, Croton, Gossypiumでは海岸低地林に比べて乾燥低木林に成育する種のほうが,LMAが大きかった.上部の乾燥低木林でも,溶岩上に成立した林と土壌が発達した林とでは,前者に分布する個体群の方が大きなLMAと小さな葉面積をもつ傾向が,Phoradendron, Zanthoxylum, Crotonなどに認められた.


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