| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-036J (Poster presentation)
2011年3月11日の東日本大震災では地盤沈下、浸水などさまざまな地形の改変が起こり、植物群落にも様々な影響を及ぼしたと考えられる。千葉県から青森県に渡る東日本太平洋岸には、海浜草本群落、塩性湿地群落などの草本植物群落、島や崖地に残存する暖地性植物群落、海岸林の景観を構成するマツ林など多様な植物群落が存在していた。これらの現状についての調査はまだ進んでいない。
日本自然保護協会では、過去に全国の重要な植物群落について調査を行い、1996年に植物群落レッドデータブックを発行している。この中でも全国の海岸低木林や海浜草本群落、塩生湿地植物群落、海岸崖地草本群落、マングローブ林の海岸植物群落の約半数は保護管理が行き届いておらず、対策の必要性を唱えてきた。
本研究ではこのデータに基づき、津波による被害が起こった区域における植物群落レッドデータブックを掲載群落について、空中写真をもとにその状況についての把握を行った。国土地理院が作成した浸水範囲概況図をもとに浸水した植物群落RDBを調査した結果、57の群落が浸水したことが明らかになった。また浸水域を含む浸水域から1km内には97の群落があり、何らかの影響を受けたのではないかと考えられた。また空中写真からもすべてが流出した群落、一部残存した群落などその状況を明らかにした。
本調査結果をもとに、今後、植物群落RDB記載群落の現状について現地調査を進めていく予定である。