| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-042J (Poster presentation)
日本の冷温帯林において、ササは重要な植生要素となっており、下層植生の多様性や樹木更新に大きく影響を与えるとともに、物質生産にも大きく寄与している。本研究では森林内でのササの分布と微地形及び微環境との関係を明らかにすることを目的とした。
阿武隈高地の南端に位置する小川群落保護林において、アズマザサ、ミヤコザサ、スズタケの3種のササの生育域を含むような調査区を設置し、調査区内のササの分布と稈密度、稈長を調査した。同時に調査区内の光環境を開空率として、土壌水分環境を体積含水率として測定した。微地形については、ササの分布データをカシミール3Dを使い地形図に乗せ、標高、傾斜方位などの微地形データを算出した。これらササの分布・地上部構造のデータと微地形・微環境データとを多変量解析を用いて分析した。
分析の結果、スズタケは沢に近いところに分布する傾向が見られ、ミヤコザサは沢から距離のあるところに分布する傾向が見られた。アズマザサは林床内に広く分布し、その稈長と稈密度はともに3種の中でもっとも可塑性が見られた。アズマザサの稈長は谷部で高くなる傾向が見られ、稈密度は南から西向きにかけての斜面で高くなる傾向が見られた。