| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-043J (Poster presentation)
河原は様々な環境が存在し、多様な生物に生息・生育場所を提供している。氾濫原など河原の立地は、洪水という大きな攪乱作用を常に被る可能性のある場所であり、出水に伴う様々な質と規模の違う攪乱作用が、植物の生活に大きく関わっている。また大規模な出水イベントは,河道環境に多大なインパクトを与え、河川の生物にとって生活を脅かすイベントともいえる。
2011年9月の台風による大出水によって多摩川の植生は広範囲にわたって破壊され、河道の移動が生じ、植生と地表に大きな攪乱が起こったと予想される。これまで自然の礫河原において、河原に生育する植物種の立地条件として、冠水頻度の指標となる河床からの高さや礫の粒径などが重要である事が指摘されてきた。しかしこのように出水後裸地になった氾濫原において、どの場所にどの実生が発生するかを様々な植生タイプごとに調べた研究はまだ少ない。氾濫原における植生復元を適切に進めるためには、これら各生育空間における種子の混入や発芽の実態をつかむことが重要である。本研究では実生の発生に着目し、大きな出水後どのように植物が発生していくのかを調べることにした。
調査は河口から23.5-24.2km地点の多摩川右岸で行った。調査地の河原に存在する植物群落を優占種で分け、移行帯を除いた群落の内部に任意で1×1mのコドラートを設置して内部を調査した。調査は優占種、水際からの距離、実生の種・個体数、実生でない植物の種・個体数、写真データを記記録し、2011年10月4日から2011年12月31日まで調査を行った。
すべての調査で、全48コドラート12タイプ計6492個体について調査をした。調査した。実生以外は全部で26種出現した。この調査から、実生の発生は水辺からの距離と実生以外の種数に影響を受けない事が明らかになった。本発表では、実生を同定したデータをもとに結果を整理する。