| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-237J (Poster presentation)
シロザケ(oncorhynchus keta)は日本において重要な漁業資源である。本種は河川で孵化した後、ベーリング海まで回遊し、産卵のため再び生まれた川に戻ってくる。数千キロの回遊を行うにもかかわらず、自分が生まれた川を記憶しているのは驚きである。しかし、この母川回帰の一方で、他の河川に迷い込む個体も少なくない。したがって、本種の個体群構造は母川回帰と迷い込みによって決まっていると考えられる。個体群構造の把握は、水産学的にも個体群生態学的にも重要である。遺伝的解析からは、北海道にはオホーツク海,根室湾,太平洋東部,太平洋西部,日本海の5つの地域個体群が存在することが示されている。しかし、遺伝的な個体群構造が水産資源として重要と考えられる個体群構造、つまり同じデモグラフィーをもった個体群、を反映しているかどうかは明らかでない。そこで本研究では、北海道24河川のシロザケの遡上データを用いて、個体数変動の同調性から示された個体群構造と遺伝的な個体群構造とを比較する。