| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-248J (Poster presentation)

マダガスカル北西部乾燥林におけるトカゲ類の食性

河合 潮*(Texas Tech Univ.),森 哲(京大 理)

マダガスカルには400種におよぶ爬虫類が生息し、その多くが固有種であることから爬虫類の多様性ホットスポットの一つとして知られている。しかしながら、森林伐採等による森林の消失が原因と考えられる個体群の減少や絶滅が危惧されており、生息種の保全・保護は最も重要な課題の一つである。爬虫類における研究としてはこれまで、分類学的研究が盛んに行われてきたが、保全生態において重要な基礎生態学的研究は一部の種を除き、ほとんど行われていないのが現状である。そこで本研究では、昼行性トカゲ3種、Oplurus cuvieriZonosaurus laticaudatusPhelsuma kochi、及び夜行性トカゲ1種、Blaesodactylus ambonihazoを対象として食性調査を行った。調査はアンカラファンチカ国立公園内において、2009年-2012年の雨季である11月-3月に行なった。胃内洗浄により採集された胃内容物分析、糞分析、及び尾の筋肉組織を用いた安定同位体分析を行なった。胃内容物及び糞からは主に無脊椎動物及び植物の種子や果実などを発見した。無脊椎動物に関しては目レベルまでの同定、植物に関しては種子や果実などの部位による分類を試みた。安定同位体分析においては各種の餌資源の由来の解明と生態的地位の比較を目的として、炭素及び窒素の安定同位体比を求めた。胃内容物及び糞分析の結果、これらのトカゲ類は膜翅目や鞘翅目を中心とした昆虫を主食とする雑食性であることが判明した。安定同位体分析の結果、人為的かく乱のある場所の多くの個体の窒素安定同位体比が、かく乱の少ない場所よりも顕著に低くなっていることが明らかとなった。また、かく乱の多い地域では種間での窒素安定同位体比の差がより小さくなっていることが判明した。


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