| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-141J (Poster presentation)

選択実験に基づく寄生蜂抵抗性のコストの査定

*滝ヶ平智博(北大・理),木村正人(北大・院環境)

宿主‐捕食寄生者系は共進化・軍拡競争に関する代表的な研究対象である.捕食寄生では寄生が成功すると宿主は殺されてしまうため,寄生率が高い場合,宿主は寄生者に対する抵抗性を進化させると考えられる.しかし,寄生率が高いにもかかわらず,抵抗性を持たない宿主も多く知られている.このことは,寄生者に対する抵抗性にはなんらかのコストがあり,抵抗性獲得が抑制されている可能性を示唆している.本研究では,ショウジョウバエの人為選択実験により,抵抗性獲得に関わるコストの査定を試みた.フタクシショウジョウバエDrosophila bipectinataの寄生蜂Leptopilina victoriaeに対する抵抗性には地理変異があり,インドネシアのボゴール集団(BG系統),マレーシアのコタ・キナバル集団(KK系統)はL.victoriaeに対する抵抗性を持つが,西表島集団(IR系統)は抵抗性を持たない.実験では,まずこれら3系統をかけ合わせた母集団を作成した.この母集団のハエ(幼虫)にL.victoriaeを寄生させたところ,約20%が抵抗性を示した.次に,この集団からL.victoriaeに対する抵抗性を持つ系統を選抜したところ, 4世代ほどで80%以上が抵抗性を示すようになった.そこで,選抜系統,コントール系統,さらに原地理系統のBG, KK, IR系統について,さまざまな生活史形質を測定し,コストの査定を行った.また,L.victoriae以外にも,L. ryukyuensisAsobara japonicaA. pleuralisに対する抵抗性も調べ,抵抗性形質の汎用性を査定した.


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