| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-178J (Poster presentation)
われわれは、いろいろな場面で、「かわいい」という言葉を耳にしたり、言ったりする機会が多い。その対象は生きものやそれをモチーフにしたグッズ類、キャラクターである場合が多い。里山にも種々の生物が生息しており、、それらのかなりの種は「かわいらしさ」の対象となっているようである。本研究では、里山に生息する生物の「かわいらしさ」について調査し、里山の生物の多様性を別の面から評価し、その新たな機能について考察したい。
調査は近畿大学奈良キャンパス(奈良市郊外の矢田丘陵)の里山で、10名程の調査者が月数回、ルートセンサス的に歩いて、観察された生物の「かわいらしさ」の程度を5段階で評価した。記録された各生物の評価点を合計し、記録した延べ人数で割った値で、各生物群(植物、昆虫、両生類、爬虫類、野鳥、哺乳類等)毎にランク付けした。
調査の結果、記録された生物種は多岐にわたり、里山の生物の多様性を裏付ける結果となり、里山の生物もかなり「かわいらしさ」の対象となっていることがわかった。すなわち、「かわいらしさ」という生物多様性の一つの新たな機能を提案できるように思われた。「かわいらしい」生物の特徴は肉眼で身近に確認できるもので、さらに大きさや形、色だけではなく、動物では「しぐさ」も重要なポイントとなっているようである。こうした点から一般に小鳥に人気があるようである。
今後、調査人数を増やし、さらに評価方法の向上をはかり、「かわいらしさ」に注目した生物多様性の機能について解析をすすめたい。