| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-181J (Poster presentation)
地域の自然や生物多様性の保全のためには、動植物種だけではなく、その生息生育の礎となる基盤環境や生態系そのものを含めた保全すべき重要な「場」を抽出・評価することが重要である。COP10以降、生物多様性の保全や創出に関する関心が高まったものの、人口が集中し多くの事業者が集まる都市部では、それらに関する基礎的情報が少なく、その価値評価についても明確な尺度がない。このような基礎的な生態系の情報が不足している中で、以下のような具体的課題が考えられる。
・行政では自然環境保全や緑化計画などでより生物多様性に配慮した計画が、また市民には生物多様性の主流化が求められる中で、それらを具体的に考えるためのベースマップが無いこと。
・事業者や行政に対して、脆弱な生態系や生物多様性についての認知度を高めることが求められる中で開発事業における配慮すべき場所の選定や、自然再生・創出に関する事業での適切な再生創出可能な場所の早い段階での絞り込み等が必要とされていること。
・保全すべき場所やその担保性の現状を明確にすることが重要な中で、今後戦略的に保全措置を講ずべき場所を明らかにし、オフサイトミティゲーションや,将来的にはミティゲーションバンク制度の定着を促進していくこと。
・都市における生態系や生物多様性の評価検討手法を確立がされ、様々な地域において同様の取り組みが実施されること。
そのため本研究では、生物多様性保全やその普及啓発に資することを目的とし、基礎的な生態系の情報を整理した。具体的には,東京都市部をケーススタディとして、リストアップすべき保全の必要がある場所とその評価手法を検討した。その上で,保全すべき重要な場所を「生態系レッドデータ」として整理し、そのマップを作成した。