| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-203J (Poster presentation)

金沢市郊外の里山における中大型哺乳類相‐赤外線カメラによる調査‐

*上馬康生(石川県白山自然保護センター),渡邉和哉(金沢大・自然システム),笠木幸枝(金沢大・地域連携推進センター),中村浩二(金沢大・環日センタ−)

近年、里山が利用されなくなり、人の出入りの減少や手入れ不足による森林環境の変化の中で、本来生息していなかった奥山の動物や外来種の出現が言われるようになっている。また金沢市では、近年イノシシの増加やニホンジカが少数ながら目撃されるようになってきた。しかし、これら哺乳類の多くは直接目撃できることは少なく、生息している種類やそれらが季節的な生息か定住しているのかなど、実態はほとんど分かっていないのが現状である。

今回、7月下旬から12月上旬に金沢市郊外の標高約70m~400mの、小集落と耕作地、森林が点在している里山で、おもに中大型哺乳類相を明らかとすることを目的に、第3次メッシュで18区画の範囲に1区画あたり1個、計18個の赤外線センサーカメラを設置して調査を行った。確認されたのはタヌキ、イノシシ、アナグマ、カモシカ、ハクビシン、ノウサギ、キツネ、ツキノワグマ、ニホンリス、テン、イタチ、ニホンジカ、イヌ、ネコであった。最も多く記録されたのはタヌキで、次いでイノシシ、アナグマが多かった。ツキノワグマは毎月のように記録されていることや亜成獣、幼獣が記録されたことから、調査地域内に定住していると考えられ、また当歳の2頭を連れた親が11月25日に記録されたことから、この調査地周辺での越冬の可能性がある。ニホンジカについても幼獣が記録され、市内での定住が考えられた。また、主要種について設置場所別、期間別、時間帯別の出現数や再出現時間などについての分析を行ったので、結果について発表する。


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