| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-260J (Poster presentation)

滋賀県竹生島におけるカワウPhalacrorax carbo hanedaeの食性

*八代田千鶴(森林総研九州),須藤明子(イーグレット・オフィス),幡野真隆(滋賀水試),鈴木正嗣(岐阜大・応生)

近年、滋賀県ではカワウ生息数の急増によって漁業被害が増加しており、特にアユは被害金額が大きいことから問題となっている。しかし、これまで行われてきたカワウの食性に関する調査は短期間であることが多く、一年を通した食性調査は一部の地域に限定されており、ほとんど明らかになっていない。そこで、2009~2010年にかけて滋賀県水産課のカワウ個体数調整事業ならびに学術研究によって捕獲したカワウの胃を採取し、胃内容物を分析することによって食性調査を実施した。調査は滋賀県琵琶湖の二大カワウコロニー、竹生島(4~9月)および伊崎半島(11~2月)において実施した。捕獲時間帯は竹生島では午前中、伊崎半島は午後であった。魚種の判別は、外部形態、咽頭歯および脊椎骨により行った。採取した胃の数は、竹生島および伊崎半島で511個および44個であり、空胃率は63.0%および22.7%であった。また、内容物が含まれていた胃のうち未消化の魚が含まれていた割合は50.8%および94.1%であり、胃内容物の有無は捕獲時間帯に影響されると考えられた。判別した魚種は、4月でウグイやフナ、5月でハスやカマツカが多く、6月以降にアユの割合が増加した。1~2月はブルーギルやオオクチバスなどの外来魚が半分以上を占めた。以上の結果から、カワウの採食する魚種は季節によって変化すること、季節毎に数種類の魚種に偏ることが明らかとなった。


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