| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-264J (Poster presentation)
生態系管理には, 各種生態系サービスの情報化や価値の評価が必要となる.そこで本研究は,「文化的生態系サービス」に着目し、安定的に文化的生態系サービスを享受するための文化的生態系サービスの生成に関して解析し, 文化的生態系サービスを持続的に利用するための政策に関する意思決定に必要な要素を抽出することを目的とする。
本研究では, 人々に文化的に精神的豊かさを供給する俳句に着目し、データセットとして, 松尾芭蕉一門による「猿蓑」約400首を研究対象とした. これは, 作者が複数集まった句集であるため, より文化の多様性が担保できる点, 俳諧の形式が一定であり, データマイニングに適している点, 季語の制約もあり, 環境物が多く詠み込まれており, 文化的生態系サービスと人間社会の関係がよく描かれているという点から選定した.
分析では, 動植物相やそれらと関連する無機的環境物由来の各五感への入力や入力が行われる場所条件等の有無を多次元ベクトルで表現し、クラスタリング分析を行うことで各クラスタの特徴を探索した.また,各句に対し, 環境省が定める自然度, レッドリストが定める絶滅危惧種の危険度合の判定を行い, それらと文化的生態系サービスの生成についての関連性を分析した。
分析の結果, 文化生成のための自然条件, 自然度, 絶滅危惧種の危険度合等の変数と文化的生態系サービス享受の関係等の知見を得た.それらを元にGISでの文化生成可能性マップを作成した
Key Words : ecosystem services, cultural services, haiku, self organization map