| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-HS04J (Poster presentation)

絶滅危惧種デンジソウの生育についての研究

藤澤未雪, 難波眞子, 西江麗奈, 松永梨花 (清心女子高等学校)

デンジソウ(Marsilea quadrifolia L.)は夏緑性の水生シダ植物であり、水田や沼などの流れのない水域で生育する。現在は農薬・除草剤の使用や水田の耕作方法の変化、さらには水田の減少などで個体数が激減し、環境省レッドリスト(2007) では、『絶滅危惧Ⅱ類』に選定されている。本校では保護を目的としてデンジソウを継続して栽培しているが、安定して保護するためには、その生態に ついて詳しく知ることが重要である。そこで私たちは、デンジソウの生態についてより詳しい情報を得るために、水位による葉の形態変化の調査、生育温度による成長の違いの調査、さらには胞子の発芽実験を行った。

その結果、水位により葉の形態が変化する様子が確認でき、水位が高くなると浮き葉が生じ、個体全体としての生育が抑制されることが明らかとなった。また、デンジソウの個体株が長生きするためには、春先の温度である20℃前後が最も適当であった。さらに胞子の発芽においては、胞子が一定期 間低温にさらされないと胞子体の形成が見られなかったので、自然界では秋に胞子嚢果をつけてからそのままの状態で越冬し、春に受精することで新しい胞子体が形成されることが示唆された。


日本生態学会