| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-HS07J (Poster presentation)

遺伝子地域固有性は、なぜ守らなくてはいけないのか -サケとゲンジボタルの遺伝子解析からの考察-

大石真琴, 竹田早哉香, 塗田周悟, 南部麻美, 前川紗英, 柳澤徹, 山下陽也 (富山県立砺波高等学校)

本校では、平成19年よりシロサケ(Oncorhynchus keta)の県内外の河川集団間の近縁関係について調査を続けており、平成22年からは青森県立八戸北高校コアSSH事業「ゲンジボタルコンソーシアム」に参加し、富山県内のゲンジボタルの遺伝子地域固有性についても調査をおこなった。シロサケについては、前回大会で報告した際に頂いたご指摘を元に、マーカーとするマイクロサテライト座を増やして再調査を行い、また1河川の年度ごとの集団の比較も行った。

その結果、サケでは商業的移出入が盛んに行われているために、河川毎の遺伝子地域固有性はほぼ失われているということなどが示唆された。またゲンジボタルでは、富山県は保護のための積極的移入はおこなわれておらず、遺伝子地域固有性は現在のところ保たれていることがわかった。

これら2つの事実から、生物の遺伝的多様性や地域固有性の現状について、またその保護の必要性や方法について考察を行い、これらのことを広く啓蒙していくにはどうすればよいのか、私たちの考えたこと、感じたことを報告したいと思います。


日本生態学会