| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-HS11J (Poster presentation)

岐阜県におけるカラドジョウの初記録と大陸産ドジョウの侵入について

梅村啓太郎 (岐阜県立岐阜高等学校)

カラドジョウはドジョウ科に属する純淡水魚であり,中国大陸から,台湾島,朝鮮半島にかけて分布する.近年,野生化したものが日本各地で確認されており,在来ドジョウとの競合や交雑などが懸念されている.これまで岐阜県におけるカラドジョウの報告はなかったが,2011年に岐阜市および羽島市の農業水路においてドジョウ類を採集したところ,カラドジョウの侵入を確認したので,ここに報告する.採集したドジョウ類は,体各部の計測を行い,mtDNAの部分塩基配列を決定した.各個体は,形態とmtDNAによってカラドジョウとドジョウの2種に同定され,中間的な形態の個体は見つからなかった.さらに,既知のmtDNAデータと比較した結果,カラドジョウは日本国内に広く侵入しているタイプであり,同所的なドジョウについては,在来系統と中国系統であることが確認された.既存の知見では,岐阜市と羽島市で中国系統のドジョウが確認されているものの,県内の他地域で確認されていないため,カラドジョウと共に侵入した可能性がある.

今後は,岐阜県に侵入したカラドジョウの分布や個体数の現状,侵入地点における今後の動向についての調査が必要である.


日本生態学会