| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-HS21J (Poster presentation)
キスゲとハマカンゾウは、共にユリ科ワスレグサ属に分類される近縁種であるが、正反対の形質をもっている。それらの形質は、花粉を運ぶ昆虫をおびき寄せるためのもので、花弁の色や花の匂いなどがあげられる。中でも、開花時間は顕著で、キスゲは夜咲きであるのに対し、ハマカンゾウは昼咲きである。これらの形質を「送粉シンドローム」と呼ぶことにする。
わたしたちは、これらの送粉シンドロームの中でも、開花時間に注目した。先述の通り、キスゲとハマカンゾウは真逆の開花リズムを持っている。ここで、真逆の開花リズムをもたらす外的要因があるかを検証した。今回は、ハマカンゾウのみについて実験を行った。
ハマカンゾウの鉢植えを、①野外 ②25℃の室内で24時間暗いまま ③25℃の室内で24時間明るいまま ④25℃の室内で光は野外のまま の4種類の光・温度条件下に置き、開花時間の変化をデジタルカメラを用いて観察した。
結果、25℃に設定した室内に置いたハマカンゾウの開花時間が野外と比べて短くなるという変化が現われた。すなわち、ハマカンゾウの開花には、温度の高低が外的要因として作用していることが分かった。