| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-HS23J (Poster presentation)
本校では平成20年度から兵庫きのこ研究会と協力して六甲山のキノコの調査を行っている。キノコの発生は春先よりも初夏に多く雨が少ないと観察個体数も少ない。そこで今回は、同研究会との過去10年間(3月~11月)の観察データを用いて雨量と気温がキノコの出現にどのように影響するのか分析を行った。まずキノコの出現傾向を分析し、ほぼ毎年見られるキノコ98種を抽出した。次にそれらのキノコの出現に有効な降水量の合計日数を調べるため、観察日を基点として5、10,15,20、30日前までの期間の総降水量と出現率との関係を調べた。その結果20日前までの降雨量と関係が深いことが判明した。次に出現状況を20日間の合計降水量と気温の選好度指数から分析した。その結果、気温の選好度は高温依存型52種、中間型20種、低温依存型12種、非依存型14種の4つのパターンに分けられた。一方雨量の選好度では降水量非依存型が72種と大半を占めた。また残りの26種類は多雨に依存する傾向が見られたが、そのほとんどが盛夏に発生する高温依存型であった。以上の結果よりキノコの発生には雨よりも気温が優先し、ほとんどの種が雨は必要であるが量そのものには依存しない傾向があると考えた。