| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-HS25J (Poster presentation)
「働きアリの2割はサボっている」という本で知った仕事をしないアリについて研究をする中でアリの社会構造全体について興味を持った。その中でも多 雌性コロニーがどのように維持されているのかについて、女王とワーカーの関係という点から研究を行った。また、文献がほとんど見つからなかったオオズアリを研究対象に選んだ。実験では、オオズアリの多雌性コロニーにおいて女王が隔離された状況を作り出し、条件を変えてワーカーの行動を観察した。
複数の実験から、多雌性コロニーにおいて女王ごとに集まるワーカーの数が 大きく異なっていることが分かった。また、ワーカーは特定の女王にだけ訪れるわけでなく、選択性を持たずに複数の女王間を出入りしていたことが解 明できた。さらに 女王は水溶性でない揮発性の物質を出してワーカーを誘引していたことが分かった。
結果から、オオズアリの多雌性コロニーは、1頭の女王とその子供が構成する グループが複数個集まったものではなく、ワーカーが選択性を持たずに複数の女王間を行き来することによって、女王同士がつながりを持った大きな1つ の集合体のようなものとなっており、結果、多雌性は維持されているものと考えられる。