| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-HS26J (Poster presentation)

守れ!ふるさとのカスミサンショウウオⅡ ~保護活動と遺伝的多様性の解析~

梅村啓太郎, 大前佳穂, 岩田亜美, 青山栞奈, 二村凌, 米川可奈子, 大澤拓巳, 近藤理子, 安田伸, 宇野真, 村上裕俊, 川合桃加 (岐阜県立岐阜高等学校)

本研究では,岐阜県内におけるカスミサンショウウオの現状とその保護活動,および2地域個体群内の遺伝的多様性について報告する.岐阜県内では,現在2ヵ所でカスミサンショウウオの生息が確認されている.個体数の少ない岐阜市では2007年から5年間で合計6,465匹の幼生を放流した.2010年から若齢個体が繁殖に参加し始めた.

岐阜県揖斐川町産,岐阜県岐阜市産の計51サンプルのミトコンドリアDNAのシトクロームb領域を増幅し,ダイターミネーター法によりシークエンスを行った.得られた塩基配列を用いて,ハプロタイプ多様度を算出し,2地域個体群内の遺伝的多様性を比較した.また,Kimuraの2変数法による遺伝的距離を求め,NJ法によって系統樹を作成した.今回の結果からハプロタイプ多様度を算出した結果,岐阜市では0.614,揖斐川町では0.000であり,個体数の多い揖斐川町の個体群よりも,個体数の少ない岐阜市の個体群のほうが遺伝的多様性が高いことがわかった.岐阜市の個体群では遺伝的多様度が今後さらに減少することが予測された。また,岐阜市、揖斐川町の両個体群はそれぞれ別の保全単位に属すると考えられた。


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