| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-HS27J (Poster presentation)

飛騨川河床に露出する蜂屋層(第三紀火山岩類)に見られる地衣類

柴垣匡利, 佐伯晃聖, 兼松悟 (岐阜県立加茂高等学校)

本研究は、岐阜県加茂郡川辺町の飛騨川河床に分布する蜂屋層(第三紀火山岩類)上に生育する地衣類相を明らかにすることを目的として実施した。調査地域は、川辺町にある川辺ダムの下流右岸に幅30m、全長450mにわたって露出する蜂屋層の露頭である。蜂屋層は飛騨川による侵食を受け、渇水期の水面から高さ5mまで、一面に露出しており、植物による被覆はほとんど見られず、地衣類の良好な生育地となっている。本調査地域で確認した地衣類は23属29種であり、タテゴケ科、ツブノリ科など、増水時に水没するような環境で、比較的若い酸性火山岩類にみられる地衣類が多くみられ、県内の他の地域とは異なる地衣類相である。頻繁に水没しやすい環境下ではイワアバタゴケ、キセガワノリ属の一種が優占種であり、その上位にはヒメカイガラゴケ、タテゴケ、タテゴケ属の一種などを優占種とする地衣群落が成立する。さらに上位の日当たりのよい露岩では、キッコウゴケ、ウスイロキクバゴケ、ツブダイダイゴケなどが優占種となっている。

川辺ダム下流の蜂屋層の露頭は、県内の他の地域ではみられない地衣類が多く生育しており、今後も、採取した標本の検査を継続し、種の同定作業を行いたい。


日本生態学会