| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
企画集会 T02-1 (Lecture in Symposium/Workshop)
河川と水路は流域内の異なる景観や水域を水の流れでつなぐ枝状のネットワークである。このネットワークに沿って物質の移動が起き、多様な生物を支えている。また、河川・水路やその周辺に暮らす生物どうしの相互作用で生物間のネットワークが形成され、生態系が保たれている。河川や水路は水の流れに従い、一定の方向に向かって物質循環や生物群集の変化する特徴的な空間であり、河川・水路の生物を研究する際は、この特徴を踏まえる必要がある。例えば、能動的な移動を不得意とする水生生物の移動を考えた場合、生息に適した環境に分布し続けるために他生物を乗り物として利用したり、途中から陸上生活へ移行して上流に向かう方法があります。前者の場合、他生物と接触することが重要だが、移動能力の高い相手へ能動的な移動のできない生物がアプローチするにはどのような手段が有効なのだろうか?本講演では、このような水の流れに着目した視点から、河川・水路におけるネットワークの概念とこれまでに得られている知見、およびこれらに基づいた生物多様性の保全に関する解説を行う。