| 要旨トップ | ESJ59 企画集会 一覧 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
企画集会 T20 -- 3月20日 15:00-17:00 L会場
高山・亜高山生態系は、気候変動に対して最も脆弱な生態系の一つである。多くの固有生物を含む特異な生物群集が形成されるが、限られた面積の山域ごとに地理的に孤立しているため、気候変動に伴う環境変化や新たな生物種の侵入により、急速に生物多様性が減少する危険性を孕んでいる。しかし、今後起こりうる環境変化に対して高山・亜高山生態系がどのような影響を受けるのか、また現在どの程度の影響が出ているのかについての知見は限られている。
気候変動による影響の理解と予測には、広域スケールでの植生変化の現状、過去に起こった環境変化による生物種の生理的応答、呼吸・有機物分解などの物質循環過程、種間相互作用、遺伝的多様性や分化のパターンなどを総合的に解明することが不可欠である。本集会では、北海道から中部山岳地帯を対象に、分子、個体群、群集、景観レベルからこの問題にアプローチしている若手研究者を中心に、これまでの研究成果を紹介する。各研究の統合を模索し、将来予測にどう繋げるか議論したい。
趣旨説明:工藤岳(北大)
コメンテーター:森章(横国大)、廣田充(筑波大)
[T20-1] 山岳生態系における植生変動の定量化-景観スケールからのアプローチ
[T20-2] 気候変動に伴うお花畑消失のメカニズム-大雪山ハクサンイチゲ個体群を事例として-
[T20-3] 標高傾度に沿ったアカエゾマツ肥大成長と材の炭素安定同位体比の関係
[T20-4] 八甲田山の森林土壌における標高別の窒素無機化と土壌呼吸について
[T20-5] 異なる標高の湿原における群集構造と光をめぐる種間相互作用
[T20-6] 山岳植物の遺伝的多様性、および標高傾度に沿った分化