| 要旨トップ | ESJ59 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
自由集会 W06 -- 3月17日 15:00-17:00 G会場
群馬県みなかみ町に位置する「赤谷の森」1万haの国有林において、地域住民から組織された地域協議会・林野庁・NGO(日本自然保護協会)が協力して、これまでの木材生産を中心とした森林管理から大きく転換し、“本来あるべき自然の復元”と“持続的な地域づくり”を目指した森林管理を進める「赤谷プロジェクト」が2004年から開始され今年で8年目を迎えた。このプロジェクトの特徴は、森林生態系を持続的に管理するために、この森に生息する猛禽類や哺乳類、植生などを指標として調査し、その結果を国有林の5カ年の管理計画(地域管理経営計画)に反映させることと、この計画を住民参加で策定したことであり、これらの取り組みは全国初の画期的なものである。2011年には、約2900haの人工林の約2/3を自然林に復元することを明記した全国初の生物多様性保全型の計画を策定した。
しかし、日本において生物多様性保全型の森林管理は前例がなく、その手法は確立されていない。そのため、順応的管理によって事業の成果を評価しながら実行することと、その仕組み・体制作りが今後の課題である。
本集会では、プロジェクト8年間の成果(人工林から自然林への大規模復元実験、など)と今後の課題を題材として、日本の国有林における順応的管理のあり方について議論したい。
コメンテーター:中村太士(北大・農)釧路の自然再生事業との比較など
趣旨説明:「赤谷プロジェクト」国有林管理のための意思決定・官民協働の枠組み
赤谷の森の植生の現状評価と森林管理への反映
イヌワシ・クマタカを指標とした生態系評価と、森林管理への反映
ほ乳類を指標とした生態系評価