| 要旨トップ | ESJ59 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
自由集会 W19 -- 3月17日 17:30-19:30 I会場
過去二十年で里山は生態学的な考察の対象としてすっかり定着した感がある。しかし改めてここで注釈を付けるまでもなく里山は自然的プロセスの働く生態系であると同時に人間の営為の結果である。また、これまでの社会変遷の中で積み重ねられたら歴史的プロセスの産物でもある。 現在の里山を読み解き、保全し、その未来を考えるためには、過去を読み解き、そこで何が起きて今の里山があるのか、改めてとらえ直すことが必要だろう。里山の自然の変遷と里の歴史を環境史的な視点で再構築する作業は、歴史を経た里山の価値を考えることにもつながるだろう。
今大会の会場である「龍谷の森」や瀬田地域自体もそうした環境史的に読み解くこと出来る地域だ。ローカルな理解を深める上で重要な視点であるだけではない。イギリスなど欧州諸国をはじめ、海外でも身近な生態系を環境史的に解釈している例は多い。こうしたグローバルな環境史研究の文脈の中での位置づけを意識することも里山イニシアチブをすすめようとする今日、必要と考え、生態学会の場で皆様とともに議論を進めたい。
3題の講演終了後、大住克博(森林総研・関西)のコメントをもとに総合討論を行う。
里山は歴史的産物である 列島プロジェクト近畿班の成果から
日本の里山を相対化する視点 イギリスのカントリーサイド形成史との比較
瀬田の環境史 江戸期以降の土地利用の変遷と生物相の変化