| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(口頭発表) B1-09 (Oral presentation)

簡単な数理モデルによるレジームシフトの説明

加藤元海(高知大・黒潮圏)

生態系の状態が突発的に大きく変化を起こす現象は、レジームシフトと呼ばれている。その例として、湖沼における突然の富栄養化、海洋においてはサンゴ礁の消滅や漁獲の大変動、陸上においては森林の消滅や砂漠化などが挙げられ、陸域水域を問わずさまざまな生態系で起こりうる。最近は、レジームシフトという現象は徐々に生態学者の間で知られるようになってきているが、数理を主な手法としている研究者以外には、(1)なぜ状態の変化が「突発的」なのか、(2)なぜレジームシフト後の系状態の回復は困難なのか、に関する理論的な「仕組み」はあまり知られていない。ここでは、レジームシフトを説明する数理モデルのうち最も単純なものを用いて、上述した(1)状態変化の突発性と(2)状態回復の困難さに加えて、(3)どういう条件の時にレジームシフトが起こるのかについて、なるべく数式を使わずに図を用いて説明することを試みる。ここで紹介する数理モデルと図による解説は、「レジームシフト:突発的に起こる生態系の大変化」(加藤元海 2012, 海洋と生物 34(4), 376-380)を基にした。


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