| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(口頭発表) B2-21 (Oral presentation)

鳥類における景観異質性への応答の多様性と生態特性との関係

*直江将司(東大・農), 片山直樹(農環研), 天野達也(ケンブリッジ大), 宮下 直(東大・農)

現代は人為による「第六の大量絶滅時代」であり、生物多様性の保全が喫緊の課題となっている。生物多様性低下を減少させる直接的な手段としては、生物多様性ホットスポットを見つけ保全することが第一歩である。しかし、気候変動や土地利用の変化によってホットスポットは今後大きく変化する可能性がある。そのため、生物多様性の「入れ物」として機能する景観構造・気候の役割を明らかにすることが、人間活動と調和のとれた保全計画やその実践を推進するうえで必要不可欠である。しかし、景観要因については景観異質性が生物多様性に正の影響を与えることが指摘されるなど、その影響が単純ではないことが指摘されている。さらに、対象生物の生態特性によっても景観要因への応答は異なるだろう。

そこで本研究では日本の国土スケールでのデータが豊富な鳥類を対象に、景観要因、特に景観異質性に対する応答、またその応答と生態特性との関わりを明らかにする。さらに、各種鳥類と景観要因との応答から分布予測を行い、種の分布の重ね合わせから日本における鳥類のホットスポットを提示する。鳥類データは、環境省の自然環境保全基礎調査におけるセンサス、アンケート、文献記録データを用い、MaxEntで解析した。基礎調査のデータは解像度が低い(10㎞メッシュ)在のみデータであるが、国土の約70%で調査されており、希少種を含む多種での解析が可能であり、また現実的なホットスポットを求められる。説明変数は景観要因として森林率、水田率、市街地率、景観のシンプソン多様度、気候要因として年平均気温、年降水量を用いた。解析結果を元に、景観異質性と鳥類の応答、またホットスポットとの関係を議論する。


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