| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(口頭発表) C1-02 (Oral presentation)

撹乱がメタ群集の移入-絶滅ダイナミクスに及ぼす影響

*福森香代子(国立環境研),George Livingston,Mathew Leibold(テキサス大)

生息地の撹乱は、さまざまな空間スケールで生物群集の動態に影響を与えることが知られている。ある限られた空間のなかの群集、つまり局所群集は、生物の移動分散によって他の局所群集と空間的につながり、メタ群集を形成する。メタ群集内で生息地の撹乱が起きると、いくつかの局所群集では種が絶滅し、近隣の局所群集から種が移入してくるため、撹乱の強度に応じてメタ群集全体の種構成は変化すると考えられる。また、局所群集間の環境の違いや生物の移動分散の程度などによっても生物の種構成は影響される。

本研究は、生息地の撹乱が環境異質性のあるメタ群集に与える影響を、繊毛虫のマイクロコズムを用いて実験的に検証することを目的とした。5×5の格子状にペトリ皿を配置し、明と暗の2つの環境においてそれぞれ優占する2種の繊毛虫を用いた。撹乱強度は、異なる数の局所群集を絶滅させることにより4段階に操作した。

撹乱がないメタ群集では、繊毛虫の種構成は環境の効果によってほぼ説明されていたのに対し、撹乱強度が増加するにつれ、環境の効果が減少し、残差(環境でも空間配置でも説明できないばらつき)の割合が増加した。また、種構成が空間配置によって説明される割合は、中程度の撹乱で最大化した。最後に、このようなパターンをもたらす要因について考察する。


日本生態学会