| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(口頭発表) C1-08 (Oral presentation)
オスとメスは性役割が異なるため、同種内でも資源利用様式が大きく異なっていることが多い。このような事例はこれまでに多く報告されてきたけれども、性に応じた資源利用様式の違いが生物群集全体にどのような影響をもたらすのかわかっていることは少ない。そこで本研究では、オスとメスという性の違いが生物群集ネットワークの構造や安定性にどのような影響を与えているか調べた。
2012年の5月から10月に、東京大学弥生構内において訪花昆虫と開花植物を調査した。訪花昆虫を見つけ取りによって採集し、その個体が訪花していた開花植物を記録した。採集した昆虫の種と性を分類することにより、オスとメスそれぞれの訪花昆虫群集を得た。そして訪花昆虫群集と開花植物のネットワーク構造を訪花昆虫のオスとメスそれぞれについて解析し、ネットワークの特性を比較した。その結果、訪花昆虫のオスのネットワークとメスのネットワークは大きく異なっていた。たとえば入れ子構造はオスよりもメスのネットワークに強く見られた。発表ではその他に見つかったいくつかのネットワークの特性の違いについて指摘する。最後にオスとメスが生物群集ネットワークに果たす役割について考察する。