| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(口頭発表) C1-11 (Oral presentation)
アオカナブンは高標高地に多く、カナブンは低標高地に多いことはよく知られている。今回、様々な標高で、甲虫を捕獲する機会があったので、それらを用い大型ハナムグリ類の棲み分けに関連する要因(標高や森林環境に関する要因)について解析した。
ナラ枯れを引き起こすカシノナガキクイムシを捕獲するトラップを県内31林分に設置した。トラップは、衝突版式バケツトラップに誘引剤としてケルキボルア剤およびエタノールを付けたものを使用した。6月から8月の2ヶ月間、コナラ林内にセットし、甲虫を捕獲した。その中から、5種の大型ハナムグリ:シロテンハナムグリ、ムラサキツヤハナムグリ、カナブン、アオカナブン、クロカナブンを選別し、頭数をカウントした。森林環境として、標高とコナラ等に関する要因(コナラ林面積、コナラ密度、コナラ直径、腐朽材量)を調査した。
その結果、カナブンは低標高地に生息していたのに対し、アオカナブンは高標高地まで生息していた。シロテンハナムグリは低標高地に、ムラサキツヤハナムグリは高標高地まで生息していた。別の調査での捕獲状況から、特にムラサキツヤハナムグリは高所まで生息することが確認された。コナラ等に関する要因もこれら5種の大型ハナムグリの個体数に影響を与え、棲み分けに関与していると思われた。