| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(口頭発表) C2-13 (Oral presentation)
東南アジアの淡水域には、多くの外来魚が導入されている。導入された外来魚は、在来魚を駆逐することで地域の生物多様性を劣化させ、ひいては人々に経済的損失をもたらすといわれている。既存の文献やデータベースでは、マレーシアの半島マレーには12種ほどの外来魚が定着していると報告されている。しかしこれらの報告の多くは、ある一時期の限られた地域の断片的な情報をもとにしているものであり、現状で半島のどこにどのような外来魚が存在しているかの詳細は明らかとなっていない。したがって、今後半島マレーの淡水生態系に対する外来魚のインパクトをはかるうえでは、広域的な視点での外来魚分布状況を整理する必要がある。
本研究では、半島マレー淡水域での外来魚の分布状況を整理することを目的に、半島広域の中小河川35地点で魚類調査を行った。調査の結果、既存研究で報告事例のある外来魚5種(Carassius auratus、Gambusia affinis、Poecilia reticulata、Oreochromis niloticus、Pterygoplichthys sp.)と報告事例がないと考えられる外来魚3種(Poecilia sphenops、Ancistrus ranunculus、Rhinogobius giurinus)が確認された。このうちO. niloticusは9地点、P. sp.は7地点、P. reticulataは6地点で確認され比較的出現頻度が高かった。
本研究では、今冬に半島マレーの別地点で同様の調査を行う予定である。発表では、その結果も併せて報告する予定である。また、半島マレーでの外来魚の分布状況と地理条件、生息環境、水質などの関係についても簡潔に報告する予定である。