| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(口頭発表) C2-15 (Oral presentation)

捕食者-被食者のメタ個体群構造を決める連結性と最上位捕食者:ため池の外来種と在来種の事例

*跡部峻史(東大・農), 武田勇人(筑波・医), 黒江美紗子(九大・理), 長田穣(東大・農), 宮下直(東大・農)

パッチ状の生息地に共存する生物群集では、パッチ間の移動分散とパッチ内の種間相互作用により個体数が決定されると考えられる。しかしながら、パッチ連結性がもたらす間接効果を含めた個体数決定機構を野外において実証した研究は少ない。こうしたプロセスを理解することは、パッチ状に分布する生息地に侵入した外来種の管理の在り方を考えるうえでも重要である。

本研究では、岩手県一関市のパッチ状に分布するため池群において、外来捕食者ウシガエルと在来被食者ツチガエルの個体数データ、および両種幼生の共通の捕食者と考えられるコイの在不在データを解析することにより、以下の4つの問いを検証した。1.ため池の連結性は外来ウシガエルの個体数に正の効果をもつか。2.ため池の連結性はウシガエルを介して、ツチカエルの個体数に負の影響を与えているか。3.コイの存在はウシガエル幼生に負の影響を与えてるか。4.コイの存在はウシガエルを介して間接的にツチガエルに正の影響を与えているか。解析の際、両種カエルの発見率を考慮した階層ベイズモデルを用いた。 また、野外調査で見られるパターンの因果関係を明らかにするために、コイによるウシガエル・ツチガエル幼生への捕食圧を比較する室内実験をおこなった。一連の調査から、生息地の連結性と上位捕食者の存在が、外来捕食者-在来被食者のメタ個体群構造に及ぼす影響を明らかにする。また、パッチ状に分布する外来種の管理方法について考える。


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