| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(口頭発表) D1-01 (Oral presentation)

環境DNA技術を用いた外来種モニタリング手法の開発

*高原輝彦, 土居秀幸(広島大・サステナセンター), 源利文(神戸大院・発達)

我々はこれまでに、自然環境中に生息する魚類の在/不在および生物量を、採捕や目視などを必要とせず、わずか数リットルの水を調べるだけで評価できる手法の開発に成功した。この手法は、湖沼や河川で採取した水に浮遊・存在している魚のフンやはがれ落ちたうろこなどから溶け出たDNA断片(環境DNA)を定量PCR法などにより測定することで魚類の生息状況を推定できる。そこで、この環境DNA法がため池に生息する外来種にも適用可能かどうかを検討するため、2011年10月から12月に広島県の内陸部および瀬戸内島嶼に点在するため池70面におけるブルーギルの侵入状況について調べた。各池のブルーギルの在/不在は、表層から採取したサンプル水1リットルに、ブルーギルに特異的なDNA断片(ミトコンドリアのシトクロムb遺伝子の一部)が溶存していたかどうかで判定した。その結果、70のため池のうち19面でブルーギルのDNAが検出され、そのうち目視観察によってブルーギルの生息が確認できた9面の池すべてでDNAが検出された。また、DNAが検出された池19面のうち、島のため池は4面のみであった。これは、島—大陸モデルから予測されるように、島のため池では内陸よりもブルーギルの侵入が少ないことを示唆している。以上のことから、環境DNA法を用いることで、わずか1リットルの水に含まれるDNA断片から、ため池におけるブルーギルの侵入状況を簡便かつ迅速に推定可能であることが明らかになった。


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