| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(口頭発表) D1-11 (Oral presentation)

環境の異なる路傍植生における群落構造と外来植物出現の関係

*紺野由佳,宇野由何子,塩見正衛,山村靖夫(茨城大・理)

外来植物の侵入は在来植物種の生存と植生の多様性にとっての大きな脅威になっている。外来植物の多くは、撹乱依存性の陽地性植物である。踏みつけや刈り取りなどの撹乱がある路傍の植生は、特に外来植物の侵入を受けやすいと考えられる。本研究の目的は、路傍植生において、光条件や水分条件などの環境要因が外来植物の侵入の程度と群集構造に与える影響を明らかにすることである。調査は茨城県常陸大宮市「緒川ふれあいの森」内の路傍植物群集で行った。この調査地では、年に1、2回草刈りが行われている。調査区は2010年に明るい尾根・暗い谷、2011年に暗い尾根・明るい谷の4ヶ所に設置し、草刈り前と草刈り約1ヶ月後の2回調査した。各調査区に道路に沿って長さ20 mの線上に、20 cm × 20 cmのコドラート100個を連続して設置した。コドラートごとに植物を地際で刈り取り、種ごとに分け乾燥重量を測定した。また各調査区において土壌の含水率と無機態窒素を測定し、全天写真をとり開空率を求めた。

草刈り前と後の両方において、明るい調査区で外来種の種数の割合が高かった。バイオマスでは、草刈り前は明るい谷区・暗い尾根区で外来種の割合が高く、草刈り後は明るい谷区で高かった。外来種は明るい環境に侵入しやすく、水分条件が良い場所では、撹乱後の再生が速いと考えられる。それぞれの種の「有」・「無」データにより、Sǿrensenの類似商を用いて、各調査区間の類似度を、Bray-Curtisの類似度指数を用いて、群集内・間の種の出現パターンの類似度を調べた。草刈り前では、外来種は群落構造に大きな効果を表さなかったが、草刈り後では、効果があったと考えられる。


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