| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(口頭発表) F2-18 (Oral presentation)
黄土高原の乾燥地草地植生の空間構造を理解するために,陝西省神木県 (39°00´~39°03´N,109°44´~109°53´E;年降水量300~400 mm,年平均気温6~8°C) の代表的な4つの草地景観を選び,2012年7月下旬調査を行った。4調査地は: ①調査地L1:標高1271 mの丘陵南西斜面の百里香自然草地 (荒地),②調査地L2:標高1215 mに位置するやや乾燥した平坦な軽度放牧地 (放棄耕地),③調査地L3:標高1208 mのやや湿潤で平坦な禁牧地 (放棄耕地),④調査地L4:標高1213 mの砂地でArtemisia ordosica生育の自然植生。
調査方法は,1調査地2本の50 mライン上に1調査単位25 × 25 cmの正方形を2列に並べ,計800個の調査単位 (総面積は調査地ごとに50 m2) で,出現した種名を調査単位ごとに記録した。
結果は次のとおりである:①4つの景観の3か所は共通種が少なく,種構成の非類似性が高かった (放牧の有無だけが異なるL2とL3は共通種が多く,種構成の非類似性は低かった)。②自然植生よりも,放棄耕地の草地の種数が多かった。③1単位の区画サイズで見ると,種数の分布は区画間でランダムであった。区画サイズを大きくするにしたがって不均一性が高くなった。L4を除いて,区画サイズが16単位以上では空間的不均一性は変化せず,種数は群集内では区画サイズがほぼ16単位の群れを構成していた。なお,L4では,空間的不均一性が一定になるのは,より大きな面積であると考えられた。