| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-091 (Poster presentation)

マレーシア・サラワク州における原生林と焼畑休閑林の埋土種子集団

*浅野 郁(名古屋大・農),中川弥智子(名古屋大・農)

埋土種子集団は、地上部の環境変化に応じて植物群落を形成する潜在的能力をもち、さまざまな植物群落の維持や更新にとって重要な役割を果たしている。多くの熱帯地域では焼畑農業が伝統的に行われており、休閑林を含む二次的な森林が陸上植物の保全や再生に果たす役割が近年注目されているため、熱帯雨林における埋土種子集団の生態的、生理学的な基礎情報の蓄積が必要不可欠である。また一部の熱帯地域においては近年の集約的な焼畑農業や代替作物への移行などによって、休閑期間が縮小または拡大している傾向にあり、このような休閑林での植物種の多様性に与える影響が懸念されている。そこで本研究では、ボルネオ島に位置するマレーシア・サラワク州で、原生林と焼畑休閑林における埋土種子集団の組成の特徴を明らかにするとともに、焼畑農業の休閑期間の違いが埋土種子集団の組成に与える影響を検討することを目的とした。

調査は、ランビルヒルズ国立公園の原生林とその周辺の焼畑休閑林において2012年8~11月に行った。原生林、焼畑後20年以上放棄されている休閑林(古)、および焼畑後約10年間放棄されている休閑林(新)の3サイトから土壌サンプルを深さ別に採取し、シェードハウス内で発芽試験を行い、発芽個体を形態的特徴により分類した。その結果、合計116種756個体が発芽した。本発表では、原生林、休閑林(古)、休閑林(新)の土壌中に含まれていた埋土種子の密度や種組成について、それらに影響を与える要因とともに解析、考察する。


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