| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-112 (Poster presentation)
都市の生物多様性を向上させる上で、生息地を取り囲む環境は、生息地そのものの保全と同等かそれ以上に重要である可能性が指摘されている。これは生息地を取り囲む環境の違いによって、生息地の孤立化・断片化が生息地内の生物に及ぼす影響が大きく変化しうるためである。
本研究では、特に都市域において生息地の孤立化を緩和する手法とされる緑道を取り上げ、緑道との接続の有無が繁殖期鳥類の種多様性を高めるのかを明らかにし、生息地の面積および植生による寄与度と比較することを目的とした。
2012年4月から6月に神奈川県と千葉県において、緑道と接続している樹林地18地点、接続していない樹林地31地点で鳥類の分布を調査した。調査方法はルートセンサス法を採用し、100mごとに区切ったルートを面積に応じて設置し、調査期間内で各ルート3回ずつの調査を実施した。各調査樹林地における観察種数を従属変数とし、樹林地面積、樹林地内の植生階層構造、緑道との接続の有無を独立変数として一般化線形モデルを構築し、各独立変数の相対的重要度を算出した。
鳥類調査では29種5234個体が観察された。モデルでは、緑道との接続の有無は、樹林地内の鳥類の分布に正に寄与していたが、その寄与度は樹林地面積と比べると3分の1程度であった。