| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-186 (Poster presentation)
種の局所的な空間分布パターンを明らかにすることは森林群集の形成プロセスを理解する上で重要であり、K関数やpair correlation関数、mark correlation関数などの空間的な手法が利用できる。しかし、種の分布パターンには常に散布制限による空間自己相関の影響が予想されるため、環境フィルタリングや競争(類似性制限)、散布制限の影響を分離することは難しい。そこで本研究では、上記の空間解析において、種のみではなくサイズと機能形質を用いることで、森林群集に対する環境フィルタリング、類似性制限、散布制限の影響を検証した。
愛知県瀬戸市の二次林に設置した10個の方形プロット(30 × 30~50 × 50 m)において、胸高直径(DBH)5 cm以上の木本の種およびDBH、プロット内の座標を記録し、機能形質として葉面積、SLA(比葉面積)、LDMC(葉乾物含量)、最大樹高を各種につき1プロットあたり1~3個体を選び、測定した。種、機能形質をマークとして、それぞれについてmark correlation関数を推定し、完全ランダム分布のもとで生成したnullモデルとの比較を距離階級ごとに行った。
完全ランダム分布との比較の結果、すべてのプロットで有意な種の集中分布が検出されたが(距離約2~18 m)、一部のプロット×機能形質の組み合わせを除いて、機能形質はランダム分布あるいは一様分布を示した。このことから、種の集中分布は、環境フィルタリングや類似性制限ではなく散布制限によるものであることが示唆された。