| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-213 (Poster presentation)

林床リターの混交と林縁からの距離のどちらが土壌動物群集に影響を及ぼすか

*時野谷彩夏(東京農工大院・農), 吉田智弘(東京農工大・農)

土壌動物にとってリターは餌資源や生息空間として重要な役割を果たしており、リターが混交することで土壌動物群集に影響を及ぼすことが知られている。また、リターの混交が分解を促進することも従来の研究で示されている。隣接する林分の境界域ではそれぞれの林分のリターが混交し、その混交割合は林縁からの距離に依存して変化している。同様に、日照や含水率などの微気象や下層植生なども林縁からの距離に伴って変化しており、土壌動物群集やリターの分解に影響を及ぼしている可能性がある。本研究では、林分の境界域における土壌動物群集の分布を決定する要因がリターの混交であるのか、それとも林縁からの距離に依存して推移している他の環境要因であるのかを明らかにするために、リターの混交割合と林縁からの距離の二つの要素を操作した実験を行った。

調査は栃木県佐野市の隣接しているスギ人工林と落葉広葉樹林の境界域において、リターバッグ法を用いて行った。林分間の境界と垂直な長さ32 mの調査ライン上に、8 m間隔で5地点の調査プロットを設定した。各プロットに、スギとコナラのリターをそれぞれ単独で封入したリターバッグと2種を混交したリターバッグを2011年11月から2012年9月まで設置した。回収したリターバッグから土壌動物を抽出し、リターの含水率と分解率を測定した。

調査の結果、どの調査プロットにおいてもトビムシ目とササラダニ亜目が優占した。土壌動物群集は林縁からの距離で差があり、リターの分解率はリターの混交により促進された。これらの実験結果から、林床リターの混交が林分の境界域における土壌動物群集とリターの分解率に及ぼす影響を考察する。


日本生態学会