| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-218 (Poster presentation)
東南アジアではオイルパーム園開発が急増している。森林を伐採しオイルパーム園を開発すると、開発以前にはいなかったクマネズミ属 (Rattus sp.)のネズミ がプランテーションに定着する。オイルパーム園経営者にとっては、クマネズミ属のネズミはオイルパームを食べる害獣であり、それを駆除する方法が模索されている。駆除のためにはクマネズミ属のネズミの生態学的な特徴を解明することがまずは必要である。そこで本研究の目的をオイルパーム園に棲息するクマネズミ属のネズミのハビタット選好性を明らかにすることとした。この目的を達するための野外調査を2012年8から9月にマレーシア半島、パソ保護林周辺のオイルパーム園で行った。調査地のオイルパーム園では、2003年に生物多様性の劣化改善のため園内の河川沿い900mに渡って果樹を含む郷土種9種、351本の樹木の稚樹が植栽されている。9年経過した現在、約半数が生存し、最大19mの樹高、52cmの直径をもつ個体も存在する。今回クマネズミ属のネズミに影響を与える要因として①地表被覆(地表に存在する下層植生とオイルパームの葉)②植栽木③河川の3つを取り上げ、3つの要因がクマネズミ属のネズミの密度に影響を与えているかどうかを明らかにした。方法はTracking tunnelを用いた。結果として、地表被覆がある場所はない場所に比べ、クマネズミ属のネズミの出現頻度が有意に大きいことが分かった。クマネズミ属のネズミはオイルパーム園において、地表被覆を天敵を避けるために利用しており、選好性があると考えられる。クマネズミ属のネズミのコントロールには地表被覆を除去する事が有効である。