| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-365 (Poster presentation)

イタドリ移入と地上部撹乱が草本群集の収量におよぼす影響は、構成種によって 異なるか?

*坂部尚隆,可知直毅,鈴木準一郎(首都大)

イタドリの移入と地上部の撹乱による草本群集の収量への影響が群集の構成種により異なるかを栽培実験により評価した。イタドリが移入した群集では、構成種数が減少する。また、一般に、地上部の撹乱は収量を減少させ、その程度は、種により異なると示唆されている。以上より、『イタドリ移入と地上部撹乱が収量に与える影響は、群集の構成種により異なる』という仮説を、イタドリの個体重および群集収量から検討した。

20×20×15cmの鉢に18個体の草本を植えた群集に、イタドリを移植し、地上部を撹乱する実験を行った。群集構成種には、それぞれ3種のイネ科とマメ科の草本を用いた。25日間の栽培後、イタドリ移入処理として地下茎を植えた。また、地上部をハサミで刈り取る処理を撹乱とした。処理の後、55日間栽培し、地上部は種別に、地下部はイタドリとその他に分けて刈り取り、乾燥させ重量を求めた。これを、①イタドリの移入の有無、②地上部撹乱の有無、③草本群集の構成(6種類の個体群、同じ科の3種で構成された2種類の群集、2科6種からなる群集)の3要因について比較した。

イタドリ移入と撹乱が収量に与える効果は種により異なった。群集構成によっても、草本地上部の重量は異なり、マメ科に比べイネ科の草本は軽い傾向が見られた。一方、イネ科群集に移入したイタドリの重量は、マメ科群集の場合に比べ有意に大きかった。このため、イタドリを移入した鉢の収量には種構成による差がなかった。また、構成種数が違うと草本各種の地上部重量は変化した。マメ科草本では、マメ科よりもイネ科と混植すると収量が増加する傾向が見られた。以上より、イタドリ移入と地上部撹乱は草本群集の収量に影響し、影響の程度は、群集構成により異なると考えられる。


日本生態学会