| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-375 (Poster presentation)
アメリカザリガニ(Procambarus clarkii)は雑食性で在来の生態系への被害の事例が多く報告されるようになった外来種である。そのため、本種駆除の取り組みが重要課題となっている。
外来生物の駆除と制御を考える際には、侵入地における好適生息場所や餌生物・天敵・在来競争者の空間的分布パターンと移動性等の影響を考慮することが重要である。駆除と制御では人為的な方法だけではなく、自然の力が重要であり、本当の生態系のバランスを作りだすといっても過言ではないからである。
本研究では、東京都葛飾区水元公園水産試験場跡地内の復元池において、人工的に改変された池内でのアメリカザリガニの生息環境の調査を行い、環境要因の違いにより分布に偏りがあるかを明らかにすることを目的とした。
調査は池内の環境を目視で10箇所のハビタットタイプに分け、タイプごとにお魚キラー5個の計50個を設置し、地点ごとのアメリカザリガニ捕獲数と性比を記録した。また、環境要因の調査としてお魚キラー設置箇所の水温、水深、泥の深さ、蛇篭(護岸)までの距離、水草の被度、樹木による被陰の有無を記録した。
調査の結果、蛇篭(護岸)近くで捕獲数が最大であった。続いて多かったのが、樹木による被陰のある箇所とガマの密生した箇所であった。蛇篭は石が積まれた護岸であるため、石の隙間がアメリカザリガニにとって好適な隠れ家になっており、ガマが密生した箇所は、サギなどの鳥類からの捕食やカムルチーなどの大型の魚類の侵入が困難なので、捕食者から身を守るための隠れ家となっていると考えられる。
本発表では,アメリカザリガニの生息が確認された地点の詳細な環境要因との考察を行う予定である。