| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-377 (Poster presentation)
長野県霧ヶ峰高原では、近年、特定外来生物に指定されているキク科多年生草本のオオハンゴンソウ〈i〉Rudbeckia laciniata〈/i〉 L.が強清水湿原や霧ヶ峰スキー場付近で大群落を形成しており、早急な管理対策が必要とされている。本研究では前年度に強清水湿原において落合ら(2011)が行った本種の刈取り及び抜根処理の効果を検証すると共に、分布状況についてより詳細かつ広範囲に渡って調査を行い、今後の管理対策への基礎的知見を得ることを目的とした。
実験は在来種の優占する群落にオオハンゴンソウが侵入している群落型Ⅰと、本種の優占する群落型型Ⅱの2群落型において、各々、年1回刈取り区および、年2回刈取り区、抜根区、無処理区の4処理区を設け、反復数3プロットで合計24プロットで2011年の夏季から2012年の秋季にかけて実施した。各プロットにおいて植生調査および相対光量子密度と土壌含水率、土壌硬度の測定を立地環境調査として実施した。なおプロットの面積は4㎡とし、各調査は中心の1㎡内で実施された。分布調査は霧ヶ峰スキー場内及び強清水から沢渡間、霧ヶ峰ドライブインから車山ビジターセンター間、同ドライブインから踊場湿原間の道路沿いにおいてGPSレシーバーを用いた踏査を行った。
オオハンゴンソウの相対積算優占度は、群落型Ⅰにおいては年1回刈取り区を除く全ての処理区で、群落型Ⅱにおいては全ての刈取りおよび抜根処理区において減少した。オオハンゴンソウの分布調査では、新たに沢渡にて分布が確認された。また別途報告のある踊場湿原でも本種の分布を確認した。本種の分布は局所的であり、集中的な分布が確認された区域は強清水湿原と霧ヶ峰スキー場、および両所を結ぶ道路間であった。
本大会では実験に伴う群落構造の変化や立地環境との関係について、より詳細な考察を行う。