| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-007 (Poster presentation)

森林における多様な種の共存メカニズム:地上LIDARを利用した森林構成種の光獲得効率と光利用効率の推定

*小野田雄介 (京都大・農), Jema B Salunga (Utrecht Uni), 阿久津公祐 (琉球大・熱帯セ), 相場慎一郎 (鹿児島大・理工), 矢原徹一 (九大・理), Niels P. R. Anten (Utrecht Uni)

植物群落には光を巡る一方向競争があり、背丈の高い植物は、上から差し込む光を先取りし、背丈の低い植物を被陰し、成長を抑制することができる。しかしその一方で、植物群落には背丈の異なる植物が共存している。この一見矛盾していると思える現象を理解するために、本研究では、共存する植物の光利用戦略に注目した。成熟した常緑広葉樹林を対象に、光の三次元分布、地上LIDARによる葉の三次元分布、非破壊的成長速度の測定を行い、共存している樹木の光獲得効率と光利用効率を世界で初めて定量化した。背丈の高い樹木は、低い樹木に比べ、バイオマスあたりの光獲得量(=光獲得効率)が高かった。一方で、背丈の高い樹木は獲得した光をバイオマスに転換する効率(=光利用効率)が低いことが分かった。この光獲得効率と光利用効率のトレードオフにより、樹高の異なる樹木でも同レベルの相対成長速度をもつことが分かった。本研究の結果は、サイズに依存した光獲得と利用のトレードオフがあるために、一方向競争下においても異なるサイズの樹木が共存できることを示す。


日本生態学会