| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-016 (Poster presentation)

畑地境界帯の微地形と管理方法が植生にあたえる影響

*紺野康夫,滝沢敦子

畑地境界帯とは耕地の四方もしくは一方に接した耕地と道路、耕地と耕地の境であり、草本が生育している場所のことである。畑地境界帯は在来種を保護するための重要な場所のひとつであり(Marshall & Moonen, 2002)、希少種の生息地として注目されている(須賀ほか 2012)。そこで畑地境界帯の植生と境界地内の微地形や除草、草刈り強度の関係をK-means法による植生分類によって検討した。また畑地や牧草地、残存林植生との関係をNMDS法によるオーディネーションによって求めた。畑地境界帯にどのように植物が生育し、周辺の植生とどのような関係にあるのかを解析することは、希少植物の保全や農地景観の生物多様性を保つ上で重要である。

調査は畑地境界帯を5つの微地形(上平地、傾斜地、溝、下平地、平地)に分け、北海道帯広市とその周辺にある畑地境界帯のそれぞれについて植生調査を行った。また刈り取り頻度などの畑地境界帯に関する管理方法を、農家と地方自治体に聞いた。K-means法により畑地境界帯と周辺植生(湿性林、乾生林、畑、牧草地)は13のグループに分けられ、畑地境界帯が周辺植生と区別されるものであること、管理強度により異なる植生を持つことが明らかとなった。またNMDS法によるオーディネーションでは、畑地境界帯は森林、畑、牧草地を3極とする中間に位置することが明らかとなった。このことは畑地境界植生が森林植物、畑地雑草、牧草地植物の混生として成立していることを示す。この結果を用いて畑地境界帯の管理方法を比較評価し、周辺環境との関係を示すことで農地景観の生物多様性を保つための畑地境界帯のあり方を考察した。


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