| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-031 (Poster presentation)

屋久島の常緑樹の落葉の季節性

*原田廣子,相場慎一郎(鹿児島大・院・理工)

本研究では屋久島を調査地とし、照葉樹林帯から針葉樹林帯における落葉の季節変化を明らかにすることを目的とした。

屋久島の標高の異なる9か所の調査地(170~1550m)において、それぞれ10個のリタートラップを設置し、積雪期(12月~2月)を除きおよそ1か月間隔でリタートラップに堆積したリターを回収した。リターを乾燥させた後、調査地ごとに葉、枝・樹皮、花・実、その他のカテゴリーに分類し、それぞれの乾燥重量を測定した。乾燥重量と堆積日数から一月当たりの落葉落枝速度(g/㎡/月)を求めた。葉はさらに種ごとに選別し、種ごとの落葉速度を求めた。ただし、モミとツガの葉はまとめて重量を求めた。

全リター中の葉の割合はどの標高でも60~80%とほぼ同じだったが、繁殖器官の割合は標高が高くなるにつれて減少する傾向があった。枝・樹皮の月ごとの落葉速度は屋久島の2か所の気象観測点の月最大瞬間風速と同じパターンを示した。標高の低い調査地では春(4月~5月)と秋(10~11月)に、標高の高い調査地では秋に落葉のピークが見られた。落葉広葉樹・常緑針葉樹は秋に落葉のピークがあった。常緑広葉樹の多くは春に落葉のピークを示したが、サクラツツジ・ヤクシマシャクナゲは秋に落葉のピークがあった。イスノキ・ウラジロガシ・モクタチバナは春にも秋にもピークがあった。このような常緑樹種はこれまでクスノキ科やマンサク科で報告されている。


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