| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-059 (Poster presentation)

内生菌によるドクゼリのZn吸収促進及び耐性メカニズムの生態化学的解明

長田賢志(筑波大学 生命環境)*, 山路恵子(筑波大学 生命環境)

日立鉱山の土壌は精錬所から排出された排煙に含まれていた重金属によって高濃度の重金属によって汚染されており、植物が自生するには厳しい環境であることが知られている。このような環境にも拘わらず、数種の植物が人の手を借りずに侵入していることが知られている。本研究で着目しているドクゼリもそのような植物の一つである。このドクゼリは一般的な植物では成長阻害を引き起こすほどの高濃度のZnを根部に蓄積しているにも拘らず、重金属含有土壌で優占的に生育していることが確認された。既存の研究によって、ドクゼリが重金属汚染土壌において自生が可能であるのは内生菌の機能によるものであることが明らかとなった。特にZnが高濃度で蓄積されていた根部から分離された内生細菌であるPseudomonas putidaはドクゼリの成長促進及び土壌中のZn可溶化によるZn吸収促進に関与していることが明らかとなった。本研究ではP. putidaによるZn可溶化に注目し、P. putidaが産生するZn可溶化物質を分離、精製することで同定を行った。その結果、Zn可溶化にはP. putidaの産生する3種類の物質が関与しており、これらの物質が同時に存在するときに土壌中のZnは可溶化されていることが確認された。しかし、現状ではドクゼリや土壌中にP. putidaの産生するこれらの物質が存在しているかは明らかではない。本発表ではドクゼリ実生にP. putidaを接種する接種試験を行い、ドクゼリのZn吸収量を分析し、P. putidaによるZn吸収促進を再検証する、さらに、P. putidaの産生している3種類の物質の土壌中、もしくはドクゼリ内での存在量を機器分析を用いて明らかにし、P. putidaの関与するドクゼリのZn吸収促進メカニズムを化学的に明らかにする。


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